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ライフ・アフター・出産

その後のことはもう、流れるが如しでした。
きれいに洗われた素っ裸の赤ん坊が横たわるわたしの胸に渡されて
赤ん坊は誰にも教わってないのにオチチに吸い付いた。
そのグングンとした吸引力といったら!赤ん坊って弱い、脆弱な存在だと
思っていたのに頑丈で力強いものなんだなぁ。と実感する。
そうこうしているうちに夫・ウンポコさんとカメラマン・Uちゃんが朝イチ
の飛行機で到着。彼らがそこで最初に目にしたものは、魂とか人間の
尊厳とかなんか大事なものまで赤子と一緒に出産してしまったんじゃ
なかろうかと思われる抜け殻のような顔をしたわたしと、そこにグングンと
力強く吸い付くエネルギーの権化のような赤ん坊の姿であった。

あとでこの時のビデオを見返すと、そんなあられもない姿でポツリポツリと
出産の感想を述べているわたしの口調が、非常にスローなのですが
なんだか微妙に試合後の亀田興毅っぽいしゃべり方なのが気になった。
あんまり好きじゃないんだけどなぁ、なぜ亀田興毅。

すっかり目覚めてスッキリ顔の亀のモーラ(母)がやってきてわたしを
褒めてくれ、「分娩室に入ってからは1時間半のスピード出産ね」と言った
のには凄くびっくりした。体感時間は6〜7時間だったのに!

その夜の夕食は懐石料理とフレンチのコースどちらか選べたので
ウンポコさんと一緒に両方食べることにした。後から気付いたけれど
この産院はエステやアロママッサージまで入院カリキュラムに組まれている
セレブ産院だったのだ!退院前夜も東京から来てくれた0ッ3と懐石を食べ
パン!とはち切れそうな乳を触らせ、酒池肉林であった。

さて赤ん坊ーー「漣(さざなみ)」と書いて「レン」と名付けられた
3420グラムの彼は同時期に生まれた新生児の中では大きい方で、顔などは
周囲の赤ちゃんと比べて一回りほど大きかった。新生児室で泣き叫ぶ赤子達
の中、ひとり眉根を寄せてコンコンと眠り続けるその姿は赤子ながらも
畏怖堂々としており、飲むオチチの量においても授乳室にて話題を独占する
ほど他の追随を許さぬ一桁違う記録をたたき出し、貫禄という点においては
すでに両親ともに負けそう!なんて思ったのは親バカの始まりかしら。

ともかく出産から一夜あけた翌朝、新生児室を訪ねて眠っている彼を
抱き上げた時、その確かな存在の重みや温もりを肌で感じて
「お互いに大変だったよねえ。よく来たねえ。」と、はじめて涙がでた。

生命が誕生した当初の単細胞の生命体から
約60兆の細胞からなる人類になるまでの38億年分の生物の進化を
このわたしの体内で苦楽を共にしながら
じっと静かに、たった10ヶ月で成し遂げた同胞はその時
作りたてみたいな可愛らしいちいさな口であくびをひとつ、した。

「はじめて出産物語」おわり。


babytoi