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ピンクの思い出2「朝日」

「移転のお知らせ」も「閉店のご挨拶」もないまま
忽然と消えたペットショップのことを頭の隅に追いやって、
また泡のように日々は流れた。高円寺に行くことはあっても
ペットショップのあった場所には立ち寄らなかった。
ピンクのことはひどく気になったけれど
「今頃どこかでいいひとに可愛がられていればいい」
無理矢理そう思うことにした。あんなにかわいいヤツだもの、わたしが
可愛がらなくても誰か別のひとが可愛がる。
お金持ちで、忍耐強くて、ゴハンとお水を毎朝くれて、
寝る前には頭を撫でてくれるやさしいひとが、きっといる。いる。いる。

それから1年ほどたった冬の朝。
いつものように家の前にとめている自転車のカギを
あけようとしてかがんだ時、
「○■△#$%!」
明らかに人の声ではない、妙な音が頭上で聞こえた。
宇宙人!?何故か即座にそう思った。顔をあげて辺りを見回しても
誰もいない。諦めて自転車を漕ぎだそうとペダルを踏んだ瞬間、
電線にとまっている妙なシルエットに気付いた。逆光でよく見えないけど
カラスにしては小さい。スズメよりは大きい。宇宙人でもない。
灰をかぶったみたいなグレーの鳥が、こちらをじっと見ていた。
目を細めて近寄ると黒い、つぶらな瞳と視線がぶつかった。
なんだろうあれ。
そっと近寄ると、向こうもこちらを見下ろしてすこし羽ばたいた。
グレーだと思った羽根の下は目の覚めるようなピンク色だった。
「・・・・・・ピンク!!?」
自分で思ったより大きな声が出てしまった。鳥は驚いてにわかに高く
飛び上がり、大きな木のほうへ飛んで行って見えなくなってしまった。
羽根を拡げた時の、胴の鮮やかなピンク色が朝日を受けてとても
キレイだった。
飛ぶトコ、初めてみた。

あれは幻だったのだろうか。ピンクによく似ていた気もするが
一瞬だったから見間違えたのかもしれない。ピンクは1人なのだろうか。
そう考えると心の奥がザワザワする。ザワザワして、もう誰もいないはずの
高円寺に探しにいきたくなる。雨の日はどこかで濡れて道に迷って
泣いてるんじゃないか、と。
でもまた会えると思う。あたしはどこにも行かないから。
確信に近い気持ちでペダルを踏んだ。
(つづくのか)


babytoi